現在IdahoのBoiseからAustinに向かう途中、Phoenixの空港で次の飛行機を待っています。PhoenixといえばSuns。Spursのプレイオフ1st Roundの相手の本拠地です。昨晩はその第三戦がPhoenixで行われ、Spursの一方的展開で終わってシリーズ3連勝。あと一勝で2nd Roundです。
調度今僕の周りでは選手達がSteve Nashについての論議をしています。Nashは過剰評価されてる、とかどうとか。
僕としては彼の問題どうよりも、コーチに問題があるんじゃないかと思いますが。ほとんどと言って良いほど毎回Nashから始まるSunsのオフェンスは相手にとって対策しやすいはず。必然とNashの成績も上がらなくなります。コーチがもっと良ければNashもあそこまで苦しまないですむのではないでしょうか。今回D-Leagueで働いてコーチがチームに与える影響がいかに凄いか、というのを知っただけにそう思わざるを得ません。
昨晩Spursのゲーム開始2時間ほど前にAustin Torosの今期最後の試合が行われました。結果は負け。優勝を目前にしての負けはなかなか信じがたい物で、暫くの間呆然としてベンチに座っていました。目の前では紙吹雪が散り、Idahoの選手、コーチ達はChampionと書かれたキャップとTシャツを身につけて大騒ぎ。特に相手のヘッドコーチの喜ぶ姿は忘れられません。
今期San Antonio Spursによって買収され、新たに生まれ変わったAustin Torosはチーム結成3年目と言えど、コーチ陣、その他のスタッフも昨年からガラリと代わり、何も無いところからのスタートとなりました。
基本10人のみがロースターに入れるこのリーグでうちのチームはおよそ30人もの選手の入れ替わりがありました。7度のCall-Ups(NBAのチームが選手を呼び上げる事)はD-League1位。つまり良い選手が何度もうちのチームを去って行ったわけで、その度にうちのコーチ陣はチームの再建を図らなくてはならない事に。シーズン終了2週間前の時点では4人もの選手が新しくチームに加わり、本当に大変な状況でした。
どれだけチームとして機能するかがプレーオフでは大切になってくるからです。
そんな中でTorosをファイナルまで導いたのはHead Coach、Quin SnyderことCoach Q。バスケットボールに対しての知識は言うまでも無くあるのですが何よりも驚かされたのは選手一人一人の”良さ”を理解し、尊重している事(スタッフに対しても同様)。暇さえあれば皆とバスケットボールの事、人生の事、家族の事、とりとめも無い事を話したり。選手の精神状態を理解するために私生活の面でも選手と接触の多い僕に話をしにくる事は日常茶飯事。時には厳しい練習をし、時には選手を休ませ、時には食事を奢り、時にはふざけ、、、。”人間”をあれだけ理解し、彼ほど上手く精神面からアプローチできる人に今まで会った事がありませんでした。
今シーズンD-LeagueのCoach of the YearはIdahoのコーチに渡されました。2年連続の受賞だそうです。周りは誰もがそのIdahoのコーチがリーグ1だと言いますが、それはただIdahoがシーズンを通して成績が良かっただけの事。チーム事情は全く異なっています。
もちろんそんな事を言いだせばきりが無いのはわかっていますが、シーズン中何度もチームを立て直し、チームをファイナルに導いたCoach QがやっぱりNo1で、そんな彼のチームが優勝できなかった事が僕は凄く悔しいのです。
Boiseより。奥には西から眺めたロッキー山脈。まだ雪が残っています。
チャンピオンシップでのCoach Q。ちなみに17番に隠れて腰をかがめた僕がいます。